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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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ローラ・ブッシュ病院は今

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バスラに子どものがんの病院ができるとの噂があったが、どうなっているんだろうとイブラヒムにきくと、喜んで写真を見せてくれた。
「汚職だらけで、プロジェクトはすすんでないよ。仕事を引き受けたイラク人たちも怪しいのばかりでお金だけ消えていった」車の中から写したという写真がこれだ。
本当は9月には工事を終えているはずなのに。
インターネットで検索するといくつかの記事が見つかったのでまとめてみました。
ローラ・ブッシュ病院は今_b0041661_09284.jpg

実は、このプロジェクト、アメリカの政府のお金とNGO、プロジェクト・ホープの共同事業だ。予算総額は500ミリオン$というから約500億円を超える。自衛隊派遣費に匹敵する。
これには大統領の妻、ローラ・ブッシュが、積極的。ホワイトハウスの国家安全保障委員会(NSC)が資金調達に協力している。
最初のアイデアは、コンドリーザ・ライスとシリン・ターヒル・ヘーリーらと話しているとき思いついたそうだ。
そして、テキサス州知事時代からの朋友 プロジェクト・ホープの理事ジョン・ハウ三世に話を持ちかけ、キャンペーンを開始。
しかし、共和党内でも当初から、どうしてそのような高価な病院が必要なのかと反発があった。共和党のジム・コルベ(外交適正化小委員会の長)こういった批判に対してホワイトハウスは、プロジェクトがファーストレディによって支援されていることをたびたび強調。コルベは結局400万ドル(4億円以上)で青写真をつくり基礎医療に焦点をあてた計画を実施する予算をとった。NSCは、このプロジェクトが子どもたちの健康管理を向上させることを主張した。
「この病院は、子どもたちに質の高い治療にアクセスすることができる。数え切れない命を救うことができる」
予算を再検討したところプロジェクト・ホープがあつめる50ミリオンドルをトレーニングと機材に使用、税金からはUSAIDが50ミリオンドルだすことになった。
候補となっているバスラの部族長たちは、電気も水も不足している状況でこういった病院を作ることに疑問を呈した。「殆どの施設はリハビリが必要なのに」
案の定2006年7月28日、保健省のチャシブ・ラティフ・アリ氏は、プロジェクトが頓挫していることをアソシエーテッドプレスにかったった。理由は、工事が思うように進まず、予算が消化してしまったという。
工事を請け負ったベクテルは、イラクの治安悪化が原因だという。
米国監査官は、、USAIDがコストをきちんと計算していなかったことが主な理由だという。
アリ氏は、バスラのプロジェクトはアメリカが約束して実施できなかったプロジェクトのひとつでしかないという。アメリカは多くの約束をしたが10%も守っていない。
180の医療関係施設のプロジェクトが約束され142の契約が結ばれたが、たった6つしか終わっていない。それすら完全に終わったとはいえない。
アリは、「日本の支援とは大違いである。13の病院と3つの最先端のガンセンターが含まれる。日本は非常に誠実だ。アメリカはそうでない。」
ベクテルは2004年に契約を取り50ミリオンドルかけて建てやを作るはずであったが、お金が無くなり完全に中断している。ベクテルはヨルダンの業者を雇い、さらにヨルダンの業者はイラクの業者を雇った。
ベクテルの広報は、「8月31日で50mを超えてしまったために撤退する。ベクテルはバスラの治安悪化でセキュリティにかかるコストがかさみ、5月の段階で75m-97mかかってしまった。さらに終了させるためには、72mが必要だ」という。監査によると今までかかった費用は170ミリオン$になるという。
結局、このプロジェクトは効果的なマネージメントが、USAIDによってなされていないのが主なる原因である。
このプロジェクトを何とか完成するためにUSは、石油関係の復興予算の22ミリオン$をあて、プロジェクトホープは30ミリオン$をこのプロジェクトを2007年の終わりに完成させるために集めなければならない。イラク政府は現在他のドナー国を探しているそうだ。
by kuroyonmaki | 2006-10-24 00:20 | イラク情報