中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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ダマスカスに到着する。

ダマスカスに行き来しているタクシー乗り場で、安全かどうか聞いてみた。
ドライバーの意見は完全に二つに分かれた。「安全かだって?そんなの誰にもわかりゃしない。やめたにこしたことないさ」「ダマスカス?全然普通さ」一体何を信じたらいいのだろう。
 7月1日、僕は、朝早く、ヨルダンにあるシリア大使館に出向いた。
広報官に面会した。
「一体、シリアはどうなってしまったのでしょう。何を信じていいかわからない」
というと、DVDをわたされた。「テロリズムに対するチャリティと平和」というタイトルのドキュメンタリーだという。
そこには、脳みそがはみ出した遺体の映像や、後ろ手に縛られた兵士が、頸を切り落とされるシーンが写っている。かつてイラクでテロリストが行なった蛮行にやり方が似ている。
誰が撮影した映像だろう?
ドキュメンタリーは、ジャジーラやBBCのシリアのネガティブキャンペーンを批判している。
顔を背けたくなるような映像が続くのだが、もうすこし、大手メディアの嘘を分析してほしい。
「ダマスカスは大丈夫ですか」
「私は、家族がダマスカスにいるので、週末は家に帰っています。ダラアやホムスなどに行かなければ問題はない。」
ダマスカスに行くのなら、写真撮影等できるように、情報省にレターを書いてくれるという。
「セキュリティで協力をしてくれるのか?」
「情報省に行けば情報省の人間がアテンドする」
「そこまではどうやっていくのか?」
「ヨルダン人のタクシーでダマスカスにはいり、シリアのタクシーに乗り換えてください」
シリアのタクシーは、だいじょうぶなのか?「テロリスト」に拉致される可能性はないのか?私はどうしてもイラクの状況と重なった。
「心配しないでもいい。ダマスカスは大丈夫です」

 私は逡巡していた。
あの頸を切られる兵士の映像。これがもし体制側のやらせだとしたら。
僕は、途中で拉致されて、殺され、映像が流される。
政権側にとっては、「テロリストがむごいことをやっている」というプロパガンダにもってこいである。しかも日本人だ。しかし、アサド政権には、発信力が全くないから、何をしてもBBCやジャジーラにいいように利用されてしまう。反体制派のほうがメディア戦略には圧倒的に長けている。
だから、先ずそういう事は起こりえないだろう。
アサド政権は、従来どおり秘密警察を使って外国人を守ろうとする。怖いのはやはり「テロリスト」だ。
日本で取ったぼくのビザは7月3日できれる。
7月2日の朝、それなりの覚悟をして、タクシー乗り場に行く。
「大丈夫だ。女子どもも旅行している」といって無理やりダマスカスに向かうパレスチナ人の女性らと相乗りにさせられた。
ヨルダン人と結婚しているというシリア出身のパレスチナ女性は、夫をヨルダンに残して実家のダマスカスに帰るという。全く何事もないかのように、帰郷を心待ちにしているようだった。隣は、その姉だろうか。僕を日本人だと知ると、好奇のまなざしで、話しかけてくる。これから僕たちが地獄に向かうことなど全く想像もつかないという風な能天気ぶりで、終始なになやらおしゃべりに花を咲かせていた。
 国境を越えるとダラアに向かう道は装甲車が出て封鎖されていた。
ダマスにはいるいり口にはチェックポイントができ、車が渋滞している。脇には、荷台をつないで兵士を運んでいる耕運機が走っている。なんとも滑稽ですらあった。
ダマスカスにつき、ヨルダン人のタクシーは、市内に入れないので、シリア人タクシーに乗り換えなければいけない。ヨルダン人の運転手に、「大丈夫か」と聞くと、「私の知り合いだ。テロリストではないよ」という。多少の不安を感じはしたが、もっと心配だったのが英語が通じないこと。情報省はministry of
information なのだが、これがどうも通じない。informationならあっちだといって連れて行かれたのは、公園だった。「この公園の真中にインフォメーションセンターがあるから」
「ちょっと待ってくれ、僕が行きたいのは省庁であって、ビデオとか写真とか撮るときに許可をもらうところだ、」
というと
「ビデオ?、TVか」といって連れて行かれたのが、TV局だった。
門のところで英語ができそうなTV局のスタッフを待つ。さすがに外国人と仕事をすることもあるTV局スタッフだと情報省の場所もわかっていて、別のタクシーを拾って説明してくれたので、今度は無事についた。
 情報省では、僕が日本人だというと、日本語の担当者を連れて来てくれた。5年くらい日本に留学していたので日本語も問題ない。
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「最近、爆弾が爆発するでしょう。私もここからでたいと思っているのです」と正直に打ち明けてくれる。早速、町にでてみる。
一週間前に、爆弾テロがあった現場に行ってみる。
旧市街の入り口のところで、人通りの多いところだ。車が爆発して二十台ほどが炎上したらしい。けが人は3名だった。道路にはへこんだあとがある。爆風で窓ガラスが割れてしまったお店の主人に話を聞く。
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「こういうのは人間のやることじゃない。政府のやらせかもしれない。国連の監視団にテロリストがいることを見せようとしたのかもしれない。あるいは、本当のテロリストがやったのかもしれない。」
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カメラを向けたらそういう政府批判ともとられかねないことを平気でしゃべってくれたので、びっくりした。
このような爆弾テロに関しては、日本の専門家も、シリア政府やらせ説を支持している人も多い。
何人かに話を聞いたが、治安の悪化と、電気の不足、観光客の不足で生活が苦しくなって来ていることの不満は多くの人が述べていた。
スーク・ファミディーエからウマイヤドモスクに行く。アイスクリーム屋にはいつもと代わらず長蛇の列。モスクに観光に来る人びと。外国人はほとんどいない。人々は、日常生活を営み、表面上は緊張感はまったくなっかた。お土産屋は、僕を見かけると、「買っていかないか?」としつこい。売り上げが少なく、そうとう危機感を感じているようだ。
通訳に、「何か、以前と違うダマスカスを見たいのだが」というが、アサド大統領の写真もほとんど見られない。
シリアの国旗もそれほど多くはなく、あまりアサド政権は支持されていないのかとも思えた。
軍や、検問の様子は、確かに今までと変わっているので、そういう写真は撮れないのかと聞いたが、
「軍の許可が要ります。時間がかかる」という。では、僕の住んでいたカファル・スーセに行きたいといったが、
「あそこの地域は、別の許可がいるんです」という。
なんだかめんどくさくなったので、「もう今日は終わりにしましょう」といってホテルまで送ってもらった。
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by kuroyonmaki | 2012-07-15 12:11 | 難民