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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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シリア騒乱1 ラムサの国境で 4月21日

「シリア危機と難民」
 僕は旅に出ると難民のことを考える。故郷や家族から離れてさまよう旅人の寂しさは、難民の心を理解するのにはほどよいのかも知れぬ。
6月20日は世界難民の日だ。
イラク戦争では、400万人を超える人たちが家を失った。
日本でも、地震と津波、福島第一原発事故で、避難生活を送っている人は33万人。今まで支援する対場だったのが、支援される国になった。昨年の2月から悪化したシリア情勢、周辺諸国へ避難する人たちは、23万人(毎日新聞3月13日)にのぼる。私たちの活動拠点であるイラクにも難民が流れ出した。故郷を失った人々に私たちに今度は私たちに何ができるのだろう。
シリア騒乱1 ラムサの国境で 4月21日_b0041661_19111626.jpg

ヨルダンのシリア難民は、10万人を越えている。しかし、難民登録を済ませたものは9500人で登録待ちが4000人。難民キャンプがあるわけではなく、アンマンやマフラクといった都市でホテルやアパートを借りて自力で生きていかねばならない。3万人は最低限の支援が必要だという。
国境の町、ラムサは、シリアの激戦地になっているダラーから5kmほどしか離れていない。闇で国境を越えてくるシリア人を受け入れているのが、シャバーブシャというビジネスマンが解放した5棟のアパートで、ヨルダンの当局が厳しく管理している。ほとんどのシリア人はパスポートも持たずに逃げてくる。ヨルダン人の身元保証があれば、ヨルダンでの滞在が許される。私が訪問すると、建物の外で、多くの人たちが談を取っており、何かを訴えたいのかわさわさと集まってくる。建物の中には着の身着のままで逃げてきた人たちがいた。15畳ほどの部屋に20人が雑魚寝している部屋や、トレーラハウスに寝ている人もいる。私が昨年、石巻に入ったときには、まるで、戦場のようだと感じたが、今度は逆に、避難所の体育館を思い出す。一日400人から700人が国境を越えてくる。
「昼間はシリア軍が見張っているので、動けません。夜、200人くらいが集まって、50人くらいの自由シリア軍がエスコートしてくれ、歩いて国境を越えました。」パルチザンのようだ。映画「サウンドオブミュージック」のナチスドイツからの逃亡シーンが思い浮かぶ。そして、福島の人たちが、周りからの非難されることを恐れ夜こっそりと家を出て行くという話とも重なった。
 奥のほうでは、汚れひとつない真っ黒なアバヤ来た清楚な女性が携帯電話で泣きながら話をしている。
「あの人は、昨日来たんです」汚れた服をまとっている難民の女の子が指差した。
シリア騒乱1 ラムサの国境で 4月21日_b0041661_19474694.jpg

マフラックに作られた避難所だが使われていなかった。
by kuroyonmaki | 2012-05-18 19:49 | 難民