中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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ヨルダンの原発輸出の現状は?マフラックの住民運動

ヨルダンは、現在96%の電気を海外からの化石燃料に頼っている。
2035年までに4基の原発を建設し、60%の電力を創出する計画である。第一基の原発をどこが受注するかに注目が集まっている。入札に参加しているのは、ロシアとカナダ、そして三菱とアレパの合弁会社だ。日本は、原発輸出を国是として掲げてきた。中東で原発建設の計画が盛んになって来ている。しかし、UAEでは、米国と組んだにもかかわらず、韓国に持っていかれた。ヨルダンは落とせない。そんな時、福島原発が事故を起してしまった。それでも、政府は、原発を売ろうと躍起になっている。ヨルダンは7月には最終的に受注を決定する。果たして日本は落札できるのか。

 4月20日、ヨルダンの首都アンマンを北東に50km、マフラクという町がある。原発立地予定地だ。シリアへ向かう街道沿いにあり、最近はシリア情勢の悪化により避難してくるシリア難民があふれているという。私たちの車は、金曜の8時にアンマンを出発したが、45分で到着した。
 地元で原発誘致に反対しているという団体「アリハムーナ」に話を聞いた。
ターリクさんたちは、原発が誘致されることを聞いて、2011年2月に反対運動を始めた。最初は6人だったが、今では3600人の仲間達がヨルダンにいるという。
ベースは、マフラクの青年同盟である。
「マフラクの住民は全員が原発誘致に反対しました。最終的には国王がやってきて、話を聞いてくれた。そして、マフラクの住民が厭なのなら原発はここには作らないといってくれた。そして、一ヶ月半くらい前に政府は正式にマフラクに原発を作ることを断念したのです。」住民運動の勝利だ。
 現在ヨルダンの国会議員は、120人いるが、63人は原発に反対しているという。
ヨルダン政府は、「エネルギーを海外に頼っている。自前のエネルギーを確保しないと経済成長は見込めない」という論調だが、疑問を投げかける人々も増えている。福島の事故と、ヨルダンに世界の2%のウランが埋蔵しているといわれてきたが、事実でない事がわかってきたからだ。そして、イスラエルとの関係も微妙だ。イスラエルは、福島以後は、原発を作らないことを宣言しているが、1980年代にフランスから核施設を導入し、兵器を作ってしまった。その後イラクが原子炉の建設を進めると、イスラエルは、81年に空爆。最近では、シリアが核開発の疑惑があるとして2008年にデリゾールを空爆しているのだ。ヨルダンも核兵器をつくろうものなら、空爆される可能性もある。ターリクさんも、イスラエルが攻撃してくることを恐れていた。
 -反原発を掲げて、ヨルダン政府の圧力はないのか?-
「内務省も、警察も、国会議員も味方してくれた。原子力省のハリッド・トゥッカーンは、フランスのアレパとの結びつきが強く、もうけようとしている。国王は、この問題に関しては、中立を保とうとしていて、国会などの民主的なプロセスをあえて重んじている。公式には、原発に、賛成、反対は表明していない。」
-ヨルダンでは原発を受け入れると、地域にお金が落ちるというような話はないのか-
「そんな話は聞いていない。日本ではそんな事があるのか?」
-なぜ住民運動が勝利したのか-
「1.すべての議員に意見書をだして、関心を持ってもらった。2.マフラクの人たちと勉強会、説明会を根気よくやってきた。そしてポスターを作って町のあちこちに張った。3.警察に行って、私たちが原発に反対していることを訴えた。
4.すべての環境団体、人権団体などにも協力、連帯を求めた。5.メディアに取り上げてもらった。6.政府の説明会や勉強会には、必ず顔をだして、反対を訴えた。
日本大使が現場を視察しに来た事があった。25人のマフラクの人たちが集まってきて、日本語で、原発反対と書いた紙を持って訴えた。大使は、どうして、自分達の視察をマフラクの人々が知っていて、しかも日本語で訴えてきたことにびっくりしていた。
やはりこのように私たちの運動が盛り上がったのは、福島の事故が大きかったと思う。Facebook に記事を書くと、多くの人たちがコメントをくれたことも勇気づけられました。
-マフラクには原発を作らないことが決まった。アリハムーナとして次の計画は?-
「政府は原発そのものを諦めたわけではない。カラックの近くのコトラーネという場所が次の候補になっている。我々は、コトラーネの住民の反対運動を手伝う。」
-日本に向けたメッセージを-
「福島で起こったことに私たちも深い悲しみを感じています。日本の皆さんは、落ちこまないで欲しい。あなたたちは、経験が多く、みんなで協力することでこの困難を乗り越える事ができる。ヨルダンと日本は、今まで強く結びついてました。マフラクという小さな町にも、日本からボランティア(協力隊)が30年間も来てくれています。私たちに出来ることがあれば協力したい。そして、原発が、私たちの自然や、生活を壊していくことを、ぜひとも阻止しなくてはいけないし、日本とヨルダンの人々の関係を壊して欲しくないのです。」
ターリクさん
このポスターを町中に貼ったという。
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by kuroyonmaki | 2012-04-21 13:20 | アンマン滞在日記