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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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ラーラとアリ

今回の出張で、ヨルダン事務所を閉鎖しました。
昨年11月からアルビル事務所が開設されたことにより、今後は、イラク事業はアルビル事務所に一本化されます。
いままで、ヨルダンで行ってきたのは、主に、イラク人患者がヨルダンで治療する際の医療費の一部支援です。

ラーラ
ラーラは、2004年ポールニューマン基金により、ヨルダンで白血病の治療を開始。当時15歳でした。7月21日 083

2005年のラーラ。左に写っているのは現在アメリカで劣化ウランの禁止に向けロビー活動中の望田ボランティア。

ラーラは一度はよくなり、バグダッドに戻るが、ラーラの一家には不幸が訪れる。2006年から始まった宗派対立。兄二人も、米軍の家宅捜査で拘束され、バスラの刑務所まで連れて行かれる。2008年にはラーラの白血病が再発。ヨルダンで骨髄移植を受けるしか助かる道はない。骨髄移植は、70,000JDもかかるという。100,000ドル日本円で1000万円。一家は途方に暮れ、母親は、ヨルダンでの滞在費を何とか工面しようと、ホテルの掃除などをした。
しかし、うれしいニュースもあった。19歳になった彼女は、アリと結婚していた。骨髄移植のお金は、ヨルダンのNPOキングフセイン癌基金が集める。
JIM-NETも100万円拠出した。UNHCRも2009年には、500,000ドルを寄付しているが、一人当たり最高で14,000ドルと上限をきめできるだけ多くの支援者を目指している。募金も成功して、骨髄移植が行われた。image007
 2007年JJの表紙に。写真は2005年撮影。ホワイトバンドキャンペーンにJIM-NETが賛同したころ。

最近余り具合がよくないと話しを聞いていたので、様子を見に行く。化学療法が続いているので、髪の毛も抜けている。普段はカツラをつけているが、僕が行っても余り気にする様子はない。年頃の女性だけに、僕のほうがなぜか気後れしてしまう。今はアリが面倒を見ているが、彼女を病院に連れて行くとそれで一日がつぶれてしまう。アリにとっても息抜きが必要なようだ。事務所にあったサッカーボールを持っていくと、ラーラがふざけて蹴りだした。ヨルダンで学校にいているので、アラビア語の宿題をやっている。以前よりやせ細っている。でも思ったよりは調子がよさそう。
Amman-224

2008年、結婚をテーマにラーラをドレス屋に連れて行って撮影した。「白いドレスって余り好きじゃないわ。」
IMG_2616

一眼レフを向ける気にはなれない。コンパクトカメラでとったけど、アリの表情がいい。結構いい男かも。
ヨルダンを発つときに挨拶しようと思ったが、電話が通じず、部屋の明かりも消えていたのが気になる。頑張って欲しい。
by kuroyonmaki | 2010-10-10 03:38