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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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愛と憎しみのイラク人たち

彼は、サラハディーンからやってきた。
サマーラに近い町に住んでいる。

2005年9月にはアメリカ軍に拘束される。夜中の一時に、米軍が、家庭訪問にきた。一ヶ月間、尋問を受けた。
サダム・政権では、工業省で働いていた。サマッラーの薬工場だという。
「抗がん剤なども製造する準備を進めていた。すでに、イタリアや、中国の会社が契約しようとしていた。僕は、コマーシャル部門のN02だった。」
「化学兵器?ヤムルークやアルカーク、ハティーンやバーベルといったほかの工場で作っていたと思う。サマッラーは、風邪薬とか、頭いたのくすりだけだった。」
アメリカはそういうところをすでに探したけど何もでてこなかった。
開戦理由の正当性を言うためには、何か探す必要があったから、サッマラーの薬工場には何かあるとおもったのだろうか?そのことを聞き出すのに、彼は最適だったのかもしれない。
彼は、解放された。
しかし、2006年、再び拘束される。
そして一週間後には、アメリカ軍の通訳としての職を得ている。
「身を守るためには、仕方がなかった」
彼が、そもそも米軍に拘束されたのは、どうしてだろう?
「仲間の密告だ。おれは、あいつを知っている。俺のことをよく思っていなかったんだ。彼は米軍の通訳として前線で一緒に作戦に参加していたよ。俺は、米軍基地で拘束されたイラク人の通訳をやっていた。前線には行かなかった。」
そいつを憎んでいる?
「もちろんだ。」
 その男は、ある日、ハンビーにのり、通訳として米軍のオペレーションに参加していた。テロリストが仕掛けた
路肩爆弾を踏んで、アメリカ兵と一緒に死んでしまった。
「ああ、うれしかったよ。テロリストに感謝だ。でもそれは、すべて、神がきめたことだ。」

人間の社会は、愛と憎しみに満ちている。イラクだけではないだろう。誰もが皆、愛し合うわけではない。やっかみや憎しみ。イラク人同士の憎しみあい。そう簡単には癒されないだろう。
by kuroyonmaki | 2010-09-25 19:10