人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

M like Mother

エミレーツで帰ってくるときに「ノダメかんたびーれ」でも見ようと思ったら、違うチャンネルで、同じようにバイオリンのオーディションのシーン。ん?と思い引き込まれていったのですが、イラン映画のM like mother (ただしエミレーツの番組表では、M for Mother になっていました。)
ストーリーは妊娠がわかって大喜びのイランの芸術家のカップルですが、4ヶ月で奇形があることが解ります。イラン・イラク戦争の毒ガス兵器のサバイバーなので、医者は、堕胎をするように求めますが、母は、「この子は、生きて動いている。殺すことなんか出来ない」と出産を決意。夫は耐えられなくなって去っていってしました。おばあさん、母、そして生まれてきた息子三代に渡り、毒ガス兵器の後遺症にくるしみ、薬は闇で高価なものを手に入れなければなりません。
苦しくても、息子にバイオリンを教えて、コンサートを実現させたかったお母さんは、薬やのエロ親父にレイプされそうになります。
エロ親父から逃れ、町をさまようお母さん、背景には、電気屋に並ぶTVでサダムフセインが捕まったニュースが。


イラン映画、クルド映画にはけっこう、毒ガス兵器の話が盛り込まれています。
たとえば、ブラックボード(背負う人)サミラ・マフマルバフ監督という映画もそうだったし、マフマン・ゴディ監督の、「酔っ払った馬の時間」「亀も空を飛ぶ」も化学兵器の話がチラッと出てきます。
クルド民族のアイデンティティとして、毒ガスでの虐殺が刻まれています。ユダヤ人のホロコースト、日本人だたら原爆でしょう。丁度、アルビルで、アンファル作戦の研究と調査をされているアンファルセンターのユーセフさんにあってお話をうかがった所でした。
 この化学兵器の問題も、2003年の開戦理由として、アメリカは自国民に対しても毒ガス兵器を使用したとして、イラククルドの立場からも、戦争を正当化しています。つまり、悲惨な体験が次の戦争を作る精神的な道具として使われてしまっている。ホロコーストの体験にしても、平和を作ることにはつながっていません。
ヒロシマ、ナガサキだけが、「復讐をしない」恒久平和を求める憲法制定や平和運動の根幹を作り上げてきましたが、蓋を開けてみると、日本も似たり寄ったりで、アメリカの傘下で戦争をしてきたといってもいいのかもしれません。
長々ととりとめなく書いてしまいましたが、エミレーツに乗られる方、是非この映画見てください!!
おすすめです。

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村
by kuroyonmaki | 2010-05-28 18:41