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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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ODA改革パブリックフォーラム

ODA改革パブリックフォーラムというのに参加してきました。
JCVの長谷部君と外務省の山田彰さんが激論をするのかと思って楽しみにしていました。
実は、11月29日は、2003年にイラクで日本の外交官が殺されました。
山田さんは、故奥克彦さんと同期で、そのあと、バグダッドの日本大使館に赴任されました。
私は、同じく、殺された井ノ上さんとは、戦争前から意見交換をしていました。
この外交官のお二方が殺されたことにどうも、納得がいきませんでした。
小泉首相は、故人の遺志を受け継いで、自衛隊を派遣し、人道復興支援をするといいました。
僕は、亡くなられた外交官の方は、政治的な文脈は抜きにして、イラクをどうすればいいか、真剣に考えていらしたと思います。あるいは、イラクにいたら真剣にならざるを得なかったのかもしれません。
 でも、日本政府は、本当に遺志を受け継いで、イラクに人道支援ができたのか。きちんと検証しなければなりません。
さて、今回のセッションですが
 NGOは、軍の人道支援が如何に問題があるかの指摘
外務書は、自衛隊の人道支援が問題なく行われた、あるいは、他の選択肢がなかった。
これからも、選択肢の一つとなりえるだろう。

という平行線の議論
ただ、僕はJVCの指摘に対し、軍だってうまく人道支援をすることは出来ると言う反論は、ありだと思います。
陸上自衛隊は、それなりにうまくやったと思います。
たとえば、僕たちが、現地に必要なのは、雇用創出だ。自衛隊の自己完結はいかがなものかというと、実際、彼らは現地人を雇いだした。
 軍服を着た人道支援は、どうなのか!
といえば、彼らはサッカーのユニフォームを着て給水活動をした。
そうなってくると、今度は、自衛隊でなくても、いいわけです。
サマーワは、小泉さんは非戦闘地域だと言ったわけで、実際NGOも活動しようとしたらできたはずです。
誰もやらなかったけど。

長谷部君がいうようにアフガンでは、比較的安全なところを選び、リトアニア軍のPRTに外務省職員を4名参加させていますが、ここでも安全なら別に軍のPRTでなくてもいいはず。

 結局、ODA といえども、外交政策と切っても切れないわけで、外務省としては国益を考えた上での政治判断になってしまうということ。
日本の場合は、この外交判断が、どうなのかということがまず問われなければいけないんじゃないかと思ってしまいます。

僕は、人道支援は、専門家がやるべきで、軍とは一線を隔するべきだという考えには賛成です。
じゃあ、その人道支援の専門性ということで考えれば、イラクはひどかったのも事実でUNは逃げ腰だったし、NGOも、これといった活動をしてきたのでしょうか?
現場がたのNGOはどんどん影を潜め、難しい議論や理想論を展開するだけになってはいないでしょうか?
JIM-NETは、もともと、イラクの病院に薬を届けるのが仕事だったから、ある意味、イラクに入ろうが遠隔操作であろうが変わらないわけで、年間4000万円程度の薬支援を治安が悪い2005年、2006年でも金額を減らすことなくやってきました。
小さなNGOとしては上出来だと思います。
しかし、大きい所は、本当にもう少し、代案を出していくべきだったと思います。
JVCがアフガンでやってきたような活動は、イラクではなかった。なんででしょう?
改めて、現場が大事だなとおもいました。

 山田さんが言っていたように、「ここにいらっしゃる皆さんの考えが多数派になったら世の中は変わるでしょう」ということ。
残念ながら、外務省を動かすのは、国益のためならイラク攻撃やむなしという多数派だとか。
NGOの役割というのは、まさに、国益のための人道支援ではなく、人道が国益より優先される、
という考えを流布することかもしれません。
by kuroyonmaki | 2009-11-29 01:25