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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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アメリカヘ行く難民

最近ヨルダンを去っていくイラク難民が多い。
喜ばしいことだけどちょっとさびしいのも現実だ。
8月14日、スレイバニ一家が、アンマンを去ることになった。
行き先はカンザスだそうだ。難民問題は政治的な問題だと思っている。UNがよく、 most vulnerable という言葉を使うけども、共産主義者がかつてソ連に亡命したり、ソ連からアメリカに亡命したり、そう言う文脈が難民の受け入れだ。
人道主義とか、the most vulnerable な人はどうしても二の次。この競争率を勝ち抜くためには、今回、アメリカに受け売れられるイラク難民も、アメリカに協力したという前提が重視されているようだ。
アメリカヘ行く難民_b0041661_14261175.jpg


UNの情報では少し古いけど、2007年は年間で約二万人が移住のプロセスにのっかったそうだ。
UNHCR had transferred the files of 20,472 of the most vulnerable Iraqi refugees for consideration by 16 resettlement
主な国です。

the United States(14,798 ) ,while Australia (1,796), Canada (1,512), Sweden (938) and New Zealand (266) are also among the top five receiving countries.
でも実際に年間で移住した人の数は、4,575人主な内訳です。
2,376 to United States, 747 to Canada, 745 to Sweden, 456 to Australia and 122 to the Netherlands.
結局アメリカが一番多いのです。

さて、これまた少しふるい記事ですが
アメリカの前広報担当副国防長官でペンタゴンのスポークスマンであったケネス・ベーコン氏が「レフュジーズ・インターナショナル」の理事長であるジェーソン・フランシスが彼にインタビューした記事があります。

http://sharejapan.org/sinews/200/212/post_132.html
写真はヨルダンで闘病生活を続けていたアハマド君、カンザスへ行くことが決まった。


SI:イラク難民の保護に関して、アメリカやイギリスはどんな対策を取っていますか。
ベーコン:行き場をなくした人々を保護するためにとても十分と言えることはなされていません。アメリカの大統領は、これが問題であることをまず認めなければなりません。アメリカは、アメリカ軍であれ、国務省であれ、民間組織であれ、人道組織であれ、彼らのために働いた人々に特別の義務があります。

 これらのイラク人は、彼らがアメリカと関係を持っていたために狙われてきたのです。彼らは占領の協力者と見なされたので、家を爆破されたり、生命を狙われたり、子供を誘拐されたりしたために家を離れるしかなかったのです。それがどのくらいのイラク人の数になるのか分かりません。しかし何千、何万という個人が、家族が、今ではヨルダンやシリアで暮らしているのです。アメリカへ来たがっている人々は英語を話します。彼らは軍関係者や外交官で、アメリカへの移住を懇願しています。しかしアメリカは非常に少数しか受け入れません。実際スウェーデンの方がアメリカより難民受け入れ数が多いのです。

 この問題には三つの部分があります。したがって、解決法も三つ必要です。最初はもちろん難民をつくる状況の改善です。合衆国政府はこの目標を達成する努力をしていると言っています。しかしイラクの暴力が続く限り、しかもある地域では悪化している現状では、とても成功はおぼつかないでしょう。もしイラク人が自国にいるのが安全だと思わなければ、移動は続くでしょう。これは最初のこの問題への解決を難しくするように思われます。

 イラクの難民危機を緩和する第二の方法は、大勢の難民を受け入れるよう受入国を助けることです。これまでに220万人がイラクを離れました。これはイラクの人口の7%にあたります。正確な数字は分かりませんが、およそ100万人余がシリアへ行ったようです。ある筋では、この数字を150万人と見ているところもあります。しかし100万人がシリアへ行ったとしたら、既にシリアの人口は5%増加したことになります。およそ80万人がヨルダンへ行きました。ということはヨルダンの人口が15%増加したことになります。非常に大きな人口の流入が短期間に起きているのです。この難民洪水がこれらの社会に実際の緊張をもたらしているのです。

 私たちは、シリアやヨルダンがこれらの難民を受け入れるためにアメリカやその同盟国が食料、避難所、学校のための金銭的支援であれ、援助するのは義務であるだけでなく、そこには人道的かつ安全保障上の理由があると主張してきたのです。流入してくる難民はこれらの国々の学校制度を圧倒してしまっています。その結果、難民が学校へ行っても入る余地がないのです。子供たちが学校へ行かず家にいるので、親は働くことができず、そのために生計の問題が生じます。この難民人口への一般的な援助は絶対に必要なのです。

 イラクの難民が直面している苦境を改善する第三の方法は、前に私が言及した、それらのイラク避難民の中の特に脆弱な層に対する援助を通してです。アメリカのために働いてきたイラク人たちには、出来る限り大勢をアメリカやその他の国に移住できるようにする積極的なプログラムがあるべきです。これまでのところ、この再定住の記録はお粗末な限りです。9月30日締めの2006年度に、アメリカが再定住させたイラク人は202名でした。今期、これまでにアメリカが受け入れを許した数は133人だと思います。私たちの主張のために、アメリカの国務省は、2007年2月にイラク難民に対処する特別作業班を設置しました。それでもなお、この特別作業班ができてからも事態は悪化しています。2月に受け入れられたイラク難民は11人、3月に8人、4月に1人、5月に1人なのです。ですから非常に残念な数字なのです。


これを見ればアメリカが起こした戦争で難民になった人に関してはアメリカが責任を持つということ。言ってみれば当然なことだし、きちんとやって欲しい。
by kuroyonmaki | 2008-08-16 14:29 | 難民