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中東を拠点に国際協力の分野で活動する佐藤真紀のオフィシャル・ブログ コメントはkuroyonmaki@yahoo.co.jpまで


by kuroyonmaki
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クラスター爆弾

イラクは、世界で2番目にたくさんのクラスター爆弾が使われた国です。
今日は台風で大変でしたが、「武器と市民社会」研究会主催の徹底討論:林明仁 VS  福田毅
を聞きに行きました。「オスロ・プロセスは「成功」なのか?再考・クラスター爆弾禁止条約

 僕が気になっていたのがイラクです。
クラスター爆弾_b0041661_131471.jpg

まず、この地図。みどりは条約に署名して批准した国。赤は署名した国です。日本は、各国に先駆けて批准しています。北東アジアにおいて、孤立しているようにも見え、国土防衛上どうなのかという疑問も出てくるわけです。しかし、これは、弱みを見せているのではなく、むしろ平和へのイニシアティブを北東アジアで日本が積極的に打ち出していく姿勢であることを僕は評価したいです。
イラクは、署名していません。
クラスター爆弾_b0041661_1383992.jpg

で次の地図、クラスター爆弾が実際に使われた所。対人地雷が世界中にばら撒かれたのに対して、クラスター爆弾はむしろ、限られた国で使用されたといえます。
クラスター爆弾_b0041661_1422356.jpg

で最後の地図が、クラスター爆弾を所有する国。
これだけ多くの国が所有しています。でも注目すべきはイラクは持っていないということ。湾岸戦争以降の経済制裁で厳しく監視されていたのでしょう。
オスロ条約では、犠牲者の支援というのがあります。そこでちょっと引っかかるのは、被害国が自国の被害者支援をする用に定めています。当然、加害国に責任があると思うのですが、戦争というのは皮肉なもので、加害者でも勝ったら正しいとなってしまい、日本の原爆の例を見れば、アメリカには責任追及しないという方針で、日本政府がすべて、ヒバクシャの支援をやってきたわけですね。
 締約国が支援を提供するように求めていますが、こちらは義務ではないから結局被害者は見捨てられるのでしょうか。

 JIM-NETで支援しているアヤちゃん。彼女は、クラスター爆弾ではなく、がんで足を切断しました。
半年に一度くらい義足の補修にバグダッドからアンマンにやってきます。しかし、この交通費だけでも600ドルかかってしまい、医療費や修理代は出せても、交通費を捻出するのは難しいのです。
当然義足の修理ぐらい、バグダッドでできれば、わざわざアンマンに来る手間が省けます。バグダッドで補修のできるワークショップを探してもらっていますがこれがなかなか見つからず、義足の部品すらないそうです。
クラスター爆弾_b0041661_2233714.jpg

アヤが新しい義足を作ってもらっている所。

国境なき医師団も義足の支援をやっています。アンマンのワークショップには、先月一ヶ月で20のイラク人の義足を修理したとのこと。やっぱり、イラクではろくなワークショップが無いのでしょうか?
だとすると、2003年のイラク攻撃でクラスター爆弾の犠牲者たちがアヤと同じように義足の修繕で苦労しているはずです。
クラスター爆弾_b0041661_229678.jpg

この少年は、一年前に自動車が、路傍爆弾で爆破、一緒に乗っていたお母さんは、即死、運転していたおとうさんも、大怪我をおいました。少年はアンマンの病院で手術、義足を作ってもらっていました。
このように、最近多いのは米軍のクラスター爆弾ではなく、テロリストが使う爆弾の犠牲者です。
こういった爆弾は、国家間の条約では、全く規制ができないから厄介です。もしかしたら、テロリストが使う爆弾は、クラスター爆弾の不発弾を集めて作られているということもあるかもしれませんが。
いずれにせよ、イラクに必要なのは、ワークショップです。そして義足や義手を作る技術者の養成ですね。
オスロ条約に従い、日本がイラクにワークショップを作る支援をすれば、クラスター爆弾の犠牲者だけでなく、路肩爆弾や、ガンの生存者など、幅広く、受益者が増えるでしょう。
by kuroyonmaki | 2009-10-09 02:38